AIを使うことに慣れてくると、文章を作ったり、情報を整理したり、仕事のアイデアを考えたりと、さまざまな場面で活用できるようになります。
一方で、AIを使うたびに自分の仕事内容や希望する文章の雰囲気を説明していると、少し手間に感じることがあります。
「私はこのような仕事をしています」
「専門用語を使わずに書いてください」
「文章は丁寧で、分かりやすい表現にしてください」
このような説明を毎回入力している人もいるでしょう。
そこで今回は、自分の仕事や好み、よく行う作業を整理し、繰り返し使える指示を作ります。毎回ゼロから質問する段階を卒業し、自分に合ったAIの使い方を形にしていきましょう。
自分専用の使い方を作るとは
自分専用のAIの使い方を作るといっても、特別な仕組みを開発する必要はありません。
まずは、自分が普段どのような仕事をしているのか、AIにどのような作業を任せたいのか、どのような回答が使いやすいのかを整理します。その内容を、繰り返し使える指示文として保存しておくだけでも十分です。
例えば、同じ「メールを作ってください」という依頼でも、人によって希望する文章は異なります。
取引先に送る丁寧なメールが必要な人もいれば、社内向けの短い連絡文を作りたい人もいます。文章を柔らかくしたい人もいれば、要点を簡潔にまとめたい人もいるでしょう。
AIは、利用者の仕事や希望を詳しく知るほど、目的に合った回答を作りやすくなります。
そのため、自分専用の使い方を作る第一歩は、自分自身の仕事についてAIに伝えることです。
まずは自分の仕事を整理する

最初から詳しい説明文を作ろうとすると、何を書けばよいか分からなくなることがあります。
その場合は、次のような内容を簡単に整理してみましょう。
- どのような仕事をしているか
- 普段よく行う作業は何か
- AIを使って効率化したい作業は何か
- どのような文章を書くことが多いか
- 回答をどのような形で受け取りたいか
例えば、小さな会社で事務や広報を担当している場合は、次のように伝えられます。
私は小規模な会社で、事務と広報を担当しています。普段は取引先へのメール、社内のお知らせ、Webサイトの記事、会議資料などを作っています。専門用語を避け、誰にでも分かりやすい文章を作りたいです。
この時点では、きれいな文章にまとめる必要はありません。思いついたことをそのまま入力しても、AIに整理してもらえます。
自分の仕事内容がうまく説明できない場合は、普段行っている作業を箇条書きで入力し、「この内容を分かりやすく整理してください」と頼む方法もあります。
AIに活用方法を提案してもらう

自分の仕事内容を入力したら、次はAIに活用方法を考えてもらいます。
今回の実践では、次のように質問してみましょう。
私の仕事では、AIを何に使えますか。毎日行う作業、週に数回行う作業、必要なときだけ行う作業に分けて、初心者にも分かりやすく提案してください。
仕事内容について先に説明しておくと、自分の業務に近い活用方法が提案されやすくなります。
例えば、事務や広報を担当している人であれば、メールの下書き、文章の言い換え、会議内容の整理、記事案の作成、説明資料の構成づくりなどが候補になるでしょう。
大切なのは、提案された内容をすべて実行しようとしないことです。
まずは、普段から時間がかかっている作業や、何度も繰り返している作業を一つ選びます。その作業からAIを使い始めると、無理なく活用を続けられます。
よく使う指示を繰り返し使える形にする

自分に合った活用方法が見つかったら、よく使う指示を保存しておきます。
例えば、ブログ記事の下書きを作ることが多い場合は、次のような内容を一つの指示としてまとめられます。
私は初心者向けのブログ記事を作成しています。専門用語をできるだけ避け、初めて読む人にも内容が伝わる文章にしてください。タイトル、導入文、見出し、本文、まとめの順で構成してください。大げさな表現や不確かな情報は使わないでください。
この指示をメモ帳や文書ファイルなどに保存しておけば、次回からすべてを入力し直す必要がありません。
メール作成用、ブログ記事用、資料作成用など、作業ごとに指示を分けておくのもよい方法です。
ただし、最初から多くの指示を作る必要はありません。利用する回数が多い作業から、一つずつ増やしていきましょう。
回答の好みもAIに伝える
仕事内容だけでなく、回答の好みも整理しておくと、さらに使いやすくなります。
例えば、次のような希望があります。
- 初心者向けの言葉を使ってほしい
- 長すぎる説明は避けてほしい
- 手順を順番に説明してほしい
- 文章を丁寧な雰囲気にしてほしい
- 分からない情報を推測で補わないでほしい
同じ内容を説明する場合でも、文章の長さや言葉の難しさによって読みやすさは変わります。
「分かりやすくしてください」だけではなく、「専門用語を避けて、中学生でも理解できる表現にしてください」のように伝えると、希望する回答に近づきやすくなります。
また、一度作った指示をそのまま使い続ける必要はありません。
実際に使ってみて文章が長いと感じたら、「もう少し短くしてください」という条件を加えます。説明が簡単すぎる場合は、「具体例も入れてください」と追加できます。
使いながら少しずつ修正することで、自分にとって使いやすい指示になっていきます。
AIに自分用の指示を作ってもらう
自分で指示文を考えるのが難しい場合は、その作業自体をAIに手伝ってもらえます。
仕事内容や希望を入力したうえで、次のように質問してみましょう。
これまで伝えた仕事内容と文章の好みをもとに、今後繰り返し使える指示文を作ってください。初心者でも使いやすいように、入力する部分が分かる形にしてください。
AIが作った指示文を確認し、自分に合わない部分があれば修正します。
例えば、毎回変更する部分を空欄にしておくと、繰り返し利用しやすくなります。
今回作成するもの:
読んでもらいたい相手:
伝えたい内容:
文章の長さ:
希望する雰囲気:
このような入力欄を用意しておけば、内容を入れ替えるだけで同じ形式の指示を使えます。
これは難しい仕組みではなく、自分用のひな型を作る作業です。普段使っている申請書やメールの定型文と同じように考えると分かりやすいでしょう。
自分専用の活用リストを作る

最後に、AIに任せたい作業を一覧にしておきます。
活用リストには、すでに使っている作業だけでなく、今後試してみたい作業も入れられます。
例えば、次のように整理できます。
毎日の仕事で使う
メールの下書き、文章の修正、長い文章の要約など、日常的に発生する作業をまとめます。
ときどき使う
会議資料の構成づくり、ブログ記事の案出し、説明文の作成など、週に数回または月に数回行う作業を整理します。
必要なときに使う
新しい企画のアイデア出し、作業手順の整理、知らない言葉の説明など、その都度必要になる作業をまとめます。
このように分けておくと、「何かAIを使える仕事はないか」と毎回考える必要がなくなります。
仕事を始める前や、作業に時間がかかっていると感じたときに活用リストを確認すれば、AIに相談できる作業を見つけやすくなります。
自分の判断を残しながら活用する
自分専用の指示を作ると、AIから希望に近い回答を得やすくなります。しかし、AIの回答をそのまま使うのではなく、最後は自分で確認することが大切です。
特に、会社名、商品名、金額、日付、連絡先などは間違いがないか確認しましょう。
また、自分の仕事に関する情報を入力する場合は、公開してはいけない情報や、個人を特定できる情報を入力しないよう注意が必要です。
AIは、考える作業や文章を整える作業を手伝ってくれますが、最終的な判断をするのは利用者です。
自分の経験や知識と組み合わせることで、AIをより安全に、実用的に活用できます。
まとめ
今回は、自分の仕事や好みに合わせて、繰り返し使えるAIの指示を作る方法を紹介しました。
自分専用の使い方を作るために、特別な知識や難しい設定は必要ありません。
まずは自分の仕事内容を伝え、「私の仕事では、AIを何に使えますか」と質問してみましょう。提案された活用方法の中から、普段よく行う作業を一つ選び、繰り返し使える指示として整理します。
最初から完璧な指示を作る必要はありません。
実際に使いながら、「もう少し短くする」「具体例を加える」「初心者向けの言葉にする」といった修正を重ねることで、自分に合った使い方が少しずつ完成していきます。
毎回ゼロから質問するのではなく、自分用の活用リストと指示のひな型を持つことが、AIを日常の仕事に定着させる第一歩です。

