このシリーズでは、少人数の会社が、日々の仕事を止めずにAIを取り入れる道筋を作ります。最初の第1話で作るのは、便利なプロンプト集ではなく「仕事の流れが見える一枚」です。
会社の仕事を受付から次の依頼まで並べる

最近の仕事を一件だけ選び、問い合わせを受けた時点から、返答、提案、受注、作業、納品、フォローまでを時系列に並べます。部署名ではなく、お客様に何が起きたかで並べるのがコツです。紙、電話、メール、口頭など、情報が動く場所も横に書きます。
AIには「このメモを工程、担当、使う情報、出力物、待ち時間に分けてください。書かれていないことは補わないでください」と依頼します。きれいな図にする前に、抜けや戻り作業を見つけられる表にします。
時間がかかる場所を一つ選ぶ

地図ができると、同じ質問への返答、資料を探す時間、会議後の確認など、手が止まる場所が見えてきます。AIの候補は「判断を任せる場所」ではなく、情報を集める、要約する、下書きを作る場所から選びます。
最初に試す場所は一つだけで十分です。このシリーズでは、問い合わせを入口にします。次話では、ここで作った業務地図から、過去の問い合わせを集めて種類別に分けます。
実践
直近の案件一件を匿名化し、工程ごとに一行で書いてください。各工程に「誰が」「何を見て」「何を渡すか」を足し、AIに表へ整えてもらいます。最後に、10分以上待つ工程へ印を付けましょう。その印が最初の改善候補です。
例:予約から施工までを一件で追う

たとえば住宅設備の小さな会社なら、「電話で空き状況を聞かれる」「担当者が予定表を確認する」「訪問日時を返す」「現場で状態を確認する」「見積もりを送る」「施工日を調整する」「作業報告を残す」と並べられます。このとき、問題があるのは電話そのものではなく、空き状況の確認に担当者しか見られない予定表が必要なことかもしれません。
地図には、作業時間だけでなく、誰かの返答待ち、資料探し、同じ内容の転記も入れます。「電話を受けた人がメモし、別の人が予定表へ転記し、担当者がもう一度確認する」なら、AIを使う前に入力場所を一つにする方が効果的です。
最初の改善候補を選ぶ基準

候補が複数見つかったら、毎週起きるか、失敗するとお客様に影響するか、今ある情報だけで試せるかを見ます。判断や値引きのように責任が重い工程は後回しにし、要約、照合、下書きなどから始めます。業務地図は完成品ではなく、次話以降で情報を置き直すための土台です。
担当者が一人しかいない工程には、休みの日に誰が見られるかも書きます。AI活用の前に情報の置き場所を共有するだけで、止まりにくくなる工程もあります。

