ウェブ改善・解析31話 中小企業サイトの改善記録はどう残す?施策が積み上がるメモの取り方

Webサイトの改善履歴を記録する中小企業のWeb担当者

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Webサイトを運用していると、少しずつ改善を重ねる場面が出てきます。

問い合わせボタンの位置を変えたり、サービスページの説明を直したり、FAQを追加したり、ブログからサービスページへの導線を増やしたり。

一つひとつは小さな変更でも、半年、1年と続けていくと、どこをいつ直したのか分からなくなることがあります。

「前にも同じ場所を直した気がする」
「なぜこの表現に変えたのか思い出せない」
「アクセスが増えたけれど、何が影響したのか分からない」

こうした状態になると、せっかく改善を続けていても、次の判断に活かしにくくなります。

特に中小企業では、Web担当者が兼任だったり、途中で担当者が変わったり、制作会社や外部担当者と分担して運用していたりすることもあります。

そのため、Webサイトの改善内容は、簡単でもよいので記録として残しておくことが重要です。

今回は、手間をかけすぎずに続けられる「改善メモ」の残し方について解説します。

改善記録がないと、同じことを何度も考えることになる

Webサイト改善で記録を残す目的は、単に履歴を保存することではありません。

一番大きな目的は、次に改善するときの判断材料を残すことです。

たとえば、サービスページの問い合わせボタンを変更したとします。

そのとき、

「ボタンを変えた」

という事実だけでは、後から見ても十分ではありません。

なぜ変えたのか。

何を期待して変えたのか。

変えた結果どうなったのか。

ここまで分かれば、次の改善に活かせます。

逆に記録がないと、数か月後に同じページを見たとき、

「このボタンは誰が、なぜこうしたのだろう」

という状態になります。

その結果、過去と同じ施策をもう一度試したり、せっかく改善した内容を元に戻してしまったりすることもあります。

改善を積み上げるためには、「何をしたか」だけでなく、「なぜしたか」を残すことが大切です。

最低限残したいのは4つだけ

日付・変更内容・理由・結果を整理したサイト改善記録

改善記録というと、細かなレポートを作らなければならないように感じるかもしれません。

しかし、中小企業のWeb運用であれば、最初から複雑な管理表を作る必要はありません。

最低限、

日付
変更内容
仮説・理由
結果

の4つを残せば十分です。

1. 日付

まず、「いつ変更したか」を記録します。

日付があるだけでも、アクセス数や問い合わせ数が変化した時期と照らし合わせやすくなります。

たとえば、

「4月10日にサービスページを修正し、4月後半から問い合わせボタンのクリックが増えた」

というように、施策と変化の時期を確認できます。

正確な時刻まで記録する必要はなく、通常は変更日だけで十分です。

2. 変更内容

次に、何を変更したのかを書きます。

ここでは、後から見た人が分かる程度に具体的にすることが重要です。

たとえば、

「サービスページを改善」

だけでは少し曖昧です。

それよりも、

「サービスページ下部にFAQ3件を追加」
「問い合わせボタンをページ中段にも追加」
「料金説明の文章を簡潔に修正」

というように書いておくと、後から内容を把握しやすくなります。

3. 仮説・理由

改善記録の中で特に重要なのが、「なぜ変更したのか」です。

たとえば、

「サービスページは見られているが、問い合わせページへの移動が少ないため」
「電話で同じ質問を何度も受けていたため」
「スマートフォンで問い合わせボタンが見つけにくかったため」

といった理由です。

この部分が残っていると、施策の目的を振り返れます。

改善は、何となく変更するのではなく、「こう変えればこうなるのではないか」という仮説を持って行うことが大切です。

ただし、難しい分析用語を使う必要はありません。

「問い合わせボタンを増やせば、フォームへ進む人が増えるかもしれない」

という程度でも十分です。

4. 結果

最後に、変更後にどうなったかを記録します。

結果は必ずしも「成功」「失敗」で分ける必要はありません。

たとえば、

「問い合わせボタンクリックが少し増えた」
「大きな変化は見られなかった」
「問い合わせ内容が具体的になった」
「FAQ追加後、同じ質問の電話が減った」

など、確認できた範囲を残します。

変化がなかった場合も、それ自体が重要な情報です。

「この施策では大きな変化がなかった」という記録があれば、次に別の場所を改善する判断がしやすくなります。

1回の改善を1行で残すくらいでもよい

改善記録は、詳しく書こうとすると続かなくなります。

毎回長い報告書を書く必要はありません。

たとえばスプレッドシートで、

日付変更内容仮説・理由結果
5/10サービスページ中段に問い合わせボタン追加下部まで読まない利用者にも問い合わせ導線を見せるクリック状況を翌月確認
6/3FAQに料金関連の質問を3件追加問い合わせ前の不安を減らす同様の電話質問が減った
6/20ブログ記事からサービスページへのリンク追加記事閲覧者をサービスページへ誘導する遷移数が増えた

という程度でも十分です。

重要なのは、完璧に書くことではなく、後から見て分かることです。

記録する項目を増やしすぎると、入力が面倒になって続かなくなります。

まずは4項目だけで始めて、必要になったら項目を追加する方が現実的です。

「変更した日」と「結果を見る日」を分ける

Webサイトを変更した直後に結果を判断するのは難しいことがあります。

アクセス数や問い合わせ数は日によって変動するため、変更翌日だけを見ても施策の影響かどうか判断できません。

そこで、改善記録には「結果確認日」を追加してもよいでしょう。

たとえば、

5月10日
サービスページのCTAを変更

6月10日
1か月分の動きを確認

という形です。

特に問い合わせ数がそれほど多くない中小企業サイトでは、短期間の数字だけで判断すると誤解しやすくなります。

変更したら少し期間を置き、月次点検のタイミングで振り返る方法が続けやすいでしょう。

数字だけでなく「現場の変化」も残す

Web改善の結果は、アクセス解析の数字だけに表れるとは限りません。

たとえばFAQを充実させた場合、ページビューには大きな変化がなくても、

「電話で聞かれる質問が減った」
「問い合わせ時の説明が短くなった」
「問い合わせ内容が具体的になった」

といった変化が起こることがあります。

こうした情報は、GA4だけを見ていても分かりません。

営業担当者や受付担当者から、

「最近この質問が減った」
「このページを見たと言われることが増えた」

といった話があれば、それも改善記録に残しておくとよいでしょう。

Webサイト改善では、数字と現場の両方を見ることが大切です。

変更前の状態も残しておくと振り返りやすい

Webサイトの変更前と変更後を比較して記録するイメージ

可能であれば、変更前の状態も簡単に残しておくと便利です。

特に、

ページ構成を大きく変えた
ボタンの位置を変えた
フォーム項目を変更した
デザインを変更した

といった場合は、変更前のスクリーンショットを保存しておくと振り返りやすくなります。

文章だけで、

「以前はボタンが下にあった」

と書くよりも、画像があった方が状況を理解しやすい場合があります。

ただし、すべての細かな変更でスクリーンショットを残す必要はありません。

後から比較したい変更だけで十分です。

改善記録と月次チェックをセットにする

月次点検から改善、記録、結果確認までを循環させるWeb運用

改善記録は、前回の記事で紹介したような月1回のサイト点検と組み合わせると運用しやすくなります。

月次チェックで問題を見つける

改善内容を決める

変更する

改善記録に残す

翌月のチェックで結果を見る

という流れです。

このサイクルができると、Webサイト改善が単発の作業ではなくなります。

「先月何をしたか」
「その結果どうなったか」
「次に何を改善するか」

がつながるため、改善を継続しやすくなります。

記録を残す場所は1か所に決める

改善記録が複数の場所に分かれていると、後から探すのが大変になります。

担当者のパソコン内にあるExcel、メール、チャット、制作会社とのやり取りなどに分散していると、必要なときに見つからないことがあります。

そのため、改善記録を残す場所はできるだけ1か所に決めましょう。

Googleスプレッドシート、Excel、Notionなど、普段使っているもので構いません。

重要なのは、ツールではなく、

「Webサイトの改善履歴を見るならここ」

という場所が決まっていることです。

複数人で管理する場合は、担当者だけが見られるローカルファイルよりも、関係者が確認できる共有環境の方が使いやすいでしょう。

担当者名も残しておくと引き継ぎしやすい

Webサイト改善履歴を見ながら担当者間で引き継ぎを行う様子

複数人でWebサイトを管理している場合は、「担当者」の項目を追加してもよいでしょう。

誰が変更したか分かれば、詳しい経緯を確認したいときに問い合わせやすくなります。

また、担当者が変わる場合にも、

「これまでどのような改善をしてきたのか」

を一覧で確認できます。

Webサイトの属人化を防ぐためには、操作方法だけでなく、判断の履歴も共有できる状態にしておくことが重要です。

「このページはこうなっている」という現在の情報だけではなく、

「なぜこの形になったのか」

まで残っていれば、引き継いだ人も判断しやすくなります。

外部業者とのやり取りも記録にまとめる

制作会社やWeb担当者など、外部に修正を依頼している場合も改善記録は役立ちます。

たとえば、

「制作会社にサービスページの修正を依頼」
「フォームの必須項目を変更」
「アクセス計測イベントを追加」

といった内容を社内側でも残しておきます。

メールやチャットを探せば分かるとしても、半年後に過去のやり取りを探すのは手間がかかります。

改善記録に概要だけ残し、必要であれば関連資料や依頼内容へのリンクを付けておくと確認しやすくなります。

うまくいかなかった施策も消さない

成功・変化なしを含めてWeb改善施策を蓄積する管理画面

改善記録では、良かった施策だけを残す必要はありません。

むしろ、期待した結果が出なかった施策も重要です。

たとえば、

「ボタンの色を変更したが、大きな変化なし」
「FAQを増やしたが、問い合わせ数への影響は確認できず」
「ブログからのリンクを追加したが、遷移はほとんど増えなかった」

という記録です。

失敗というより、

「この条件では効果を確認できなかった」

という情報として残します。

これがあることで、半年後に別の担当者が同じ施策を繰り返すことを防げます。

また、当時は効果がなかった施策でも、サイトの状況が変われば再検討できることがあります。

過去の結果を消さずに残しておくことが、改善の蓄積につながります。

改善記録は「次に何をするか」まで書けると便利

慣れてきたら、4つの基本項目に加えて、

次の対応

を追加する方法もあります。

たとえば、

「CTAクリックは増えたがフォーム送信は変わらないため、次はフォームを確認する」

という形です。

これを書いておくと、翌月に何から始めればよいか迷いにくくなります。

毎回新しく改善案を考えるのではなく、前回の結果から次の施策につなげることができます。

改善記録が単なる履歴ではなく、「次の作業リスト」としても機能するようになります。

中小企業向けの改善記録テンプレート

最初は、次のような項目で十分です。

基本項目

  • 日付
  • 対象ページ
  • 変更内容
  • 仮説・変更理由
  • 結果
  • 次の対応
  • 担当者

毎回すべてを細かく書く必要はありません。

たとえば、

日付: 7月10日
対象: サービスページ
変更: FAQを3件追加
理由: 問い合わせ前に料金について同じ質問が多かったため
結果: 翌月確認
次の対応: 電話で同じ質問が減ったか確認
担当: Web担当

この程度であれば、大きな負担にはなりません。

まずは続けられる形で記録を始めることが重要です。

まとめ:改善内容だけでなく「判断の理由」を残す

Webサイト改善では、何を変更したかだけを残しても、時間が経つとその意図が分からなくなることがあります。

そのため、

いつ変更したか
何を変更したか
なぜ変更したか
結果はどうだったか

を簡単に残しておきましょう。

余裕があれば、

「次に何を確認するか」
「誰が担当したか」

まで記録すると、さらに活用しやすくなります。

大切なのは、立派な改善報告書を作ることではありません。

半年後に見たときに、

「このとき、この問題があったから、この変更をした。その結果はこうだった」

と分かる状態にしておくことです。

それだけでも、過去の改善を無駄にせず、次の施策につなげられます。

また、担当者が変わった場合でも、これまでの判断や改善内容を引き継ぎやすくなります。

Webサイト改善を積み重ねていきたいのであれば、次に何かを変更するときから、

日付・変更内容・理由・結果

の4つだけでも記録してみてください。

小さなメモでも、1年後には自社サイトの改善履歴として価値のある情報になります。

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