インターネットが日常生活に不可欠なインフラとなった今、ウェブサイトは誰もが利用できるものであるべきです。ここで重要になるのが「ウェブアクセシビリティ」という考え方です。
ウェブアクセシビリティとは、年齢・障害・利用環境に関わらず、すべての人がウェブサイトの情報やサービスを利用できる状態を指します。
- 目が見えなくてもスクリーンリーダーで操作できる
- 一部の色が識別できなくても情報が欠けない
- キーボードだけで利用できる
- 耳が聞こえなくても動画の内容が理解できる
こうした「誰もが使えるウェブ」が今、ますます求められています。
なぜ今、ウェブアクセシビリティが重要なのか?
1. 法的背景
2024年4月1日に施行された「改正障害者差別解消法」により、民間事業者にも障害のある人への「合理的配慮」が義務化されました。ウェブアクセシビリティは、その合理的配慮を支える「環境整備」のひとつとされています。
政府は「努力義務」と位置付けていますが、その背景には「誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化」という理念があります。
2. 利用者の多様性
- 日本のインターネット利用率は8割超
- 高齢化社会の進展
- 視覚・聴覚障害者は数十万人規模
障害のある人だけでなく、一時的に手が使えない人や、イヤホンを忘れて音が聞けない人なども対象です。結果として、すべてのユーザーの「使いやすさ」が向上します。
ウェブアクセシビリティの国際標準
WCAG(Web Content Accessibility Guidelines)
W3Cが定める国際ガイドラインで、以下の4原則に基づきます。

- 知覚可能(Perceivable)
- 操作可能(Operable)
- 理解可能(Understandable)
- 堅牢(Robust)
日本のJIS規格
「JIS X 8341-3:2016」はWCAG 2.0と完全一致しており、ISO規格とも同一です。これにより、チェック方法やツールの国際的な共通化が実現しています。現在はWCAG 2.1や2.2が発表され、モバイルや認知障害にも対応が広がっています。
WordPressとアクセシビリティ
WordPressは世界で最も利用されているCMSのひとつで、アクセシビリティ改善への取り組みが進んでいます。
- 管理画面や公式テーマは WCAG 2.2 AAレベル への準拠を目標に開発
- 専門チームがWordPressコアに対応を実装
- コーディング規約にもアクセシビリティが組み込まれている
ただし、サードパーティ製のテーマやプラグインは対応レベルに差があるため、制作者が選定・改善する必要があります。
WordPressサイトのアクセシビリティ改善ステップ

- 代替テキストの付与 – 画像に必ずalt属性を設定
- 色のコントラスト確保 – 文字色と背景色は4.5:1以上
- キーボード操作対応 – Tab/Enterだけで操作可能に
- 動画の字幕追加 – 聴覚障害者にも配慮
- セマンティックHTML – 正しい見出しやリストを利用
- ナビゲーションの一貫性 – サイト全体で統一ルールを適用
- 動的コンテンツの制御 – スライドやアニメは停止・非表示機能を設置
- フォームの最適化 – ラベルと入力欄を関連付け、エラー時は明確に案内
- 試験と改善の繰り返し – ツール検証だけでなく人による確認を実施
よくある誤解と注意点
- ユーザー補助機能に依存しすぎない
文字拡大ボタンや色変更機能は補助的なものであり、HTML構造や代替コンテンツ不足を解決するものではありません。 - オーバーレイプラグインの過信は危険
「設置だけで改善できる」と謳うプラグインは、本質的な課題を解決しないため非推奨です。
まとめ
WordPressサイトのアクセシビリティ向上は、
- 法律対応
- SEOや集客の強化
- そして「誰一人取り残さない社会」づくり
につながります。
まずは代替テキストやコントラスト調整など、小さな改善から始めましょう。参考資料としては、デジタル庁の「ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック」が有用です。
今こそ、WordPressを活用し「誰もがアクセスできる未来」を実現する一歩を踏み出しましょう。