AIを使い始めたものの、「結局、何に使えばよいのか分からない」と感じることがあります。
AIは、文章作成、情報整理、アイデア出し、質問への回答など、さまざまなことに使えます。そのため、できることを広く知るほど、かえって使い道を決めにくくなる場合があります。
そのようなときは、AIの機能から考えるのではなく、自分が困っていることから考えてみましょう。
「毎回作っている文章に時間がかかる」
「頭の中の考えをうまく整理できない」
「複数の案を比べて決めたい」
このような自分の課題が分かれば、AIに何を手伝ってもらうかも決めやすくなります。
今回は、何となくAIを使う状態から一歩進み、自分がAIを使う目的を整理する方法を紹介します。
目的がないとAIを使い続けにくい
AIを初めて使うときは、質問を入力したり、文章を作ってもらったりするだけでも新鮮に感じます。
しかし、しばらく使っていると、次のような状態になることがあります。
便利そうだが、仕事のどこで使えばよいか分からない。
いろいろ質問しているが、実際の作業にはあまりつながっていない。
回答は受け取れるが、その後どう使うか決まっていない。
これは、AIが役に立たないからではありません。
AIを使う目的が広すぎたり、はっきりしていなかったりするために、実際の行動につながりにくくなっている可能性があります。
たとえば、「仕事を効率化したい」という目的は間違いではありません。ただし、それだけでは、どの仕事をどのように変えたいのかが分かりません。
「毎週作っている案内メールの下書き時間を短くしたい」
「会議前に、自分の考えを整理したい」
このように、実際の作業まで少し具体的にすると、AIへ頼む内容が明確になります。
AIでできることより自分の困りごとから考える
AIを使う目的を決めるときは、「AIに何ができるか」をすべて調べる必要はありません。
先に、自分が普段困っていることや、時間がかかっていることを振り返ります。
たとえば、毎日の仕事の中で、次のようなことはないでしょうか。
- 同じような文章を何度も作っている
- 長い文章を読むのに時間がかかる
- 考えがまとまらず、作業を始められない
- 一人では案が思いつかない
- 複数の商品や方法を比べにくい
- 確認作業で抜け漏れが起こる
- 分からない言葉を調べるのに時間がかかる
このような困りごとは、AIの使い道を見つける手がかりになります。
「どのAIを使うか」よりも先に、「どの困りごとを手伝ってほしいか」を考えると、自分に必要な使い方が見えてきます。
AIを使う主な目的を7つに分ける
AIに手伝ってほしいことは、大きく分けるといくつかの目的に整理できます。
ここでは、初めてAIを仕事や生活で使う人が考えやすいように、7つに分けて紹介します。
時間を短縮したい
最も分かりやすい目的の一つが、作業時間を短くすることです。
ただし、AIに仕事をすべて任せるという意味ではありません。
文章の下書きや、情報の整理、作業手順のたたき台など、最初の部分をAIに手伝ってもらうことで、自分が一から始める時間を減らします。
たとえば、お客様への案内メールを毎回一から作っている場合は、必要な内容を伝えて下書きを作ってもらえます。
会議後のメモが長くなっている場合は、要点ごとに整理してもらうこともできます。
次のような作業は、時間短縮の目的を考えやすいでしょう。
- メールや案内文の下書き
- ブログ記事の構成作り
- 長い文章の要約
- 作業手順の整理
- 繰り返し使う説明文の作成
- アイデアの最初の候補出し
AIが作った内容をそのまま使うのではなく、自分で確認し、必要な部分を直すことが前提です。
それでも、白紙の状態から考える時間を減らせるため、日常の作業に取り入れやすい目的です。
文章を読みやすくしたい
自分で書いた文章を、読みやすく整える目的でもAIを使えます。
内容は決まっていても、文章が長くなったり、同じ説明を繰り返したりすることがあります。
そのようなときは、元の文章をもとに、順番を整理してもらえます。
たとえば、次のように依頼できます。
内容を変えずに、初めて読む人にも分かりやすい順番へ整理してください。
長い文章を、読みやすい段落に分けてください。
専門用語を減らし、やさしい表現に直してください。
この目的は、お客様へのメール、社内向けの案内、ブログ記事、商品説明、操作手順など、幅広い文章で役立ちます。
ただし、固有名詞、日付、金額、商品情報などは、AIが整えた後にも必ず自分で確認しましょう。
考えを整理したい
頭の中に考えはあるものの、うまく言葉にできないことがあります。
そのようなときは、AIに結論を決めてもらうのではなく、自分の考えを整理する相手として使えます。
たとえば、思いついていることを順不同で入力し、次のように頼みます。
この内容を、現状、問題、原因、対策に分けて整理してください。
私の考えを、決まっていることと、まだ決める必要があることに分けてください。
このメモから、次に考えるべき質問を出してください。
AIに整理してもらうことで、自分が何を考えているのか、何がまだ曖昧なのかを確認できます。
仕事の相談、企画作り、予定の整理、買い物の検討など、結論を出す前の段階で使いやすい目的です。
アイデアを増やしたい
一人で考えていると、似た案ばかりになったり、途中で思いつかなくなったりすることがあります。
AIには、最初の候補を増やす役割を頼めます。
たとえば、ブログ記事のテーマを考える場合は、読者や目的を伝えたうえで複数案を出してもらいます。
店舗の案内方法を考える場合は、店内、Webサイト、メール、SNSなど、異なる方法に分けて案を出してもらうこともできます。
ただし、数だけを増やすと、似た内容が並ぶことがあります。
その場合は、次のように違いを指定します。
費用をかけない案、短時間でできる案、長期的に取り組む案に分けてください。
似た案を避け、方向性が異なる案を出してください。
AIの案をすべて採用する必要はありません。
自分では思いつかなかった選択肢を見つけ、その中から使えるものを選ぶために活用します。
情報を比較したい
複数の商品、サービス、作業方法などを比較するときにもAIを使えます。
情報を一つずつ読んでいると、違いが分かりにくくなることがあります。
その場合は、比較する項目を決め、表や項目別に整理してもらいます。
たとえば、次のような比較です。
- 複数のサービスの料金と機能
- 作業方法ごとのメリットと注意点
- 複数案の費用、時間、難しさ
- 商品ごとの対象者と特徴
- ソフトや道具の違い
比較するときに大切なのは、元となる情報を正しく用意することです。
AIが知らない最新情報や、確認できない料金を推測で作らせないようにします。
公式ページや資料から確認した情報を渡し、「この内容だけを使って比較してください」と伝えると、整理しやすくなります。
作業の抜け漏れを防ぎたい
仕事には、いくつもの確認項目が必要な作業があります。
Webサイトの公開、イベントの準備、書類の提出、店舗のお知らせなどでは、一つの作業を忘れるだけでも問題につながることがあります。
AIには、作業の内容をもとに、確認項目の候補を出してもらえます。
たとえば、次のような依頼です。
店舗イベントの準備内容を、開催前、当日、終了後に分けてチェックリストにしてください。
Webサイト公開前に確認する項目を、文章、画像、リンク、問い合わせ、スマートフォン表示に分けてください。
AIが作ったチェックリストには、自分の仕事特有の項目が含まれていない場合があります。
そのため、完成版として使うのではなく、自分で確認項目を追加するためのたたき台として使います。
分からないことを質問したい
知らない言葉や操作方法について質問することも、AIの基本的な使い方です。
検索では、複数のページを読みながら、自分に必要な情報を探す必要があります。
AIには、自分の理解度に合わせて説明してもらえます。
たとえば、次のように頼めます。
パソコンに詳しくない人にも分かるように説明してください。
この言葉の意味を、具体例を使って説明してください。
一度に全部説明せず、最初に確認することから順番に案内してください。
ただし、AIの回答が常に正しいとは限りません。
特に、契約、料金、法律、医療、税金、最新のサービス内容などは、公式情報や専門家への確認が必要です。
AIには、基本的な理解や、確認すべき項目の整理を手伝ってもらうとよいでしょう。
目的を具体的な作業に置き換える
「時間を短縮したい」「文章を読みやすくしたい」という目的が決まったら、次は実際の作業に置き換えます。
目的だけでは、AIへ何を依頼すればよいか決めにくいためです。
たとえば、「時間を短縮したい」という目的を、次のように具体化できます。
毎週作成しているお知らせメールの下書き時間を短くしたい。
会議後のメモを要点ごとに整理する時間を減らしたい。
ブログ記事の見出し構成を考える時間を短くしたい。
「考えを整理したい」という目的も、次のように変えられます。
新しいサービス案について、決まっていることと未決定のことを分けたい。
一週間の仕事を、急ぐ作業と後でもよい作業に整理したい。
複数の選択肢から、判断に必要な条件を明確にしたい。
目的と具体的な作業を組み合わせることで、AIへの依頼文が作りやすくなります。
最初から多くの目的を設定しない
AIにはさまざまな使い道があるため、すべて試したくなるかもしれません。
しかし、最初から多くの目的を設定すると、どの使い方が本当に役立ったのか分かりにくくなります。
文章作成、調査、アイデア出し、予定管理、画像作成などを同時に始めると、試すだけで終わってしまうこともあります。
最初は、自分にとって特に役立ちそうな目的を3つ選びましょう。
たとえば、文章をよく作る人であれば、次の3つが考えられます。
- メールや案内文の作成時間を短くする
- 自分で書いた文章を読みやすくする
- ブログやお知らせのアイデアを増やす
事務作業が多い人であれば、次のように選べます。
- 長い資料やメールの要点を整理する
- 作業チェックリストを作る
- 分からない操作を初心者向けに質問する
3つに絞ることで、実際の仕事の中で試しやすくなります。
優先する目的は困る回数と負担で選ぶ
10個ほど使い道を書き出すと、どれを優先すればよいか迷うことがあります。
その場合は、次の二つを基準に考えます。
何度も発生するか
月に一度だけ行う作業よりも、毎日や毎週繰り返す作業を優先すると、AIを使う効果を感じやすくなります。
たとえば、毎日メールを書く人であれば、メールの下書きや文章整理は試しやすいでしょう。
毎週会議を行う人であれば、議題の整理やメモの要約が役立つ可能性があります。
時間や負担が大きいか
回数が少なくても、毎回多くの時間がかかる作業は優先する価値があります。
ブログ記事を月に数回しか作らなくても、毎回数時間かかるのであれば、構成や下書きをAIに手伝ってもらう意味があります。
また、時間だけでなく、「始めるまでに気が重い」「内容を考えるのが難しい」といった負担も判断材料になります。
何度も発生し、負担も大きい作業ほど、最初に試す目的として適しています。
目的は後から変えてもよい
一度決めた目的を、ずっと使い続ける必要はありません。
実際に試してみると、思っていたより役立たないこともあれば、別の使い方が便利だと気づくこともあります。
たとえば、最初は文章作成を目的に使い始めたものの、実際には文章を書く前の考えの整理に役立つかもしれません。
アイデア出しを目的にしたものの、出した案を比較する作業の方が便利だと感じることもあります。
目的は、AIを使いながら調整するものです。
「この使い方で本当に時間が短くなったか」
「作業が分かりやすくなったか」
「後から直す作業が増えていないか」
このように振り返り、自分に合った目的へ少しずつ修正していきましょう。
実践:AIに手伝ってほしいことを10個書き出す
今回は、自分の仕事や生活の中で、AIに手伝ってほしいことを10個書き出します。
最初からきれいな文章にする必要はありません。
普段の作業を思い出しながら、「時間がかかること」「面倒に感じること」「うまくできないこと」を短く書いてみましょう。
たとえば、次のような内容です。
- お客様へのメールを作る
- 長いメールの要点をまとめる
- ブログ記事のテーマを考える
- 自分で書いた文章を読みやすくする
- 会議で話す内容を整理する
- 複数のサービスを比較する
- 作業のチェックリストを作る
- パソコンの操作方法を質問する
- 一週間の予定を整理する
- 新しい企画の案を増やす
書き出せない場合は、一日の仕事を朝から順番に思い出してみてください。
どの作業で手が止まるか、何を毎回調べているか、どの文章を繰り返し作っているかを考えると見つけやすくなります。
10個の中から優先する3つを選ぶ
10個を書き出したら、その中から最初に試す3つを選びます。
選ぶときは、次の点を考えます。
- よく行う作業か
- 時間がかかる作業か
- 負担に感じる作業か
- AIへ説明しやすい作業か
- 試した結果を確認しやすいか
たとえば、「お客様へのメールを作る」は、実際にかかった時間や修正量を確認できます。
「作業チェックリストを作る」も、抜け漏れが減ったかどうかを確認しやすい目的です。
最初に選ぶ3つは、大きな仕事でなくても構いません。
日常的に行う小さな作業の方が、AIを繰り返し試しやすく、自分に合った使い方を見つけやすくなります。
選んだ目的を一文にまとめる
最後に、選んだ3つを、AIに相談するときに使える一文へまとめます。
たとえば、次のように書けます。
AIを、お客様向けメールの下書き、自分で書いた文章の整理、ブログ記事のアイデア出しに使いたいです。
より具体的にする場合は、目的も加えます。
AIを使って、お客様向けメールを作る時間を短くし、文章を初心者にも読みやすく整え、ブログ記事の候補を増やしたいです。
この一文は、第3話で作った仕事説明に追加できます。
仕事の内容とAIを使う目的を一緒に伝えることで、自分の状況に合った提案を受け取りやすくなります。
まとめ
AIはできることが多いため、目的を決めずに使うと、何に活用すればよいか分からなくなることがあります。
まずは、自分が困っていることや、時間がかかっている作業から使い道を考えましょう。
AIを使う目的は、主に次のように分けられます。
- 時間を短縮したい
- 文章を読みやすくしたい
- 考えを整理したい
- アイデアを増やしたい
- 情報を比較したい
- 作業の抜け漏れを防ぎたい
- 分からないことを質問したい
すべてを同時に始める必要はありません。
まずは、AIに手伝ってほしいことを10個書き出し、その中から、よく行う作業や負担の大きい作業を3つ選んでください。
目的が明確になると、AIへの質問も具体的になり、受け取った回答を実際の仕事や生活へ活用しやすくなります。

