「とにかく早く、小さくECサイトを始めたい」というご相談をいただく機会が非常に増えています。しかし、その最初の選択肢であるプラットフォーム選び、特にShopifyとWooCommerceの比較で手が止まってしまう方も少なくありません。
この最初の選択は、後々の運用効率や拡張性に大きく影響します。本記事では、大規模なECサイトではなく、あくまで「スモールスタート」を前提とした場合に、どちらのプラットフォームがよりご自身の要件に合っているのかを判断するための、実務的な情報を提供します。
ECのスモールスタートで重要なのは「機能」より「要件」
ECサイトを始める際、つい多機能なプラットフォームに目が行きがちですが、スモールスタートで最も重要なのは、高機能さよりもご自身の「要件」を整理することです。具体的には、以下の5つのポイントを自問自答してみてください。
- 商品点数: 最初に取り扱う商品は数点ですか? それとも数十点以上ありますか?
- 決済方法: クレジットカード決済以外に、どのような決済方法(コンビニ決済、後払いなど)が必須ですか?
- 在庫・配送の複雑さ: 在庫管理はシンプルですか? 温度帯別の配送や、複雑な送料設定が必要ですか?
- 将来の拡張予定: 将来的にはBtoB対応や外部システムとの連携を考えていますか?
- 運用を誰が行うか: サイトの更新や管理は、Webの専門知識がない方でも行える必要がありますか?
これらの要件を明確にすることで、ツールに振り回されることなく、ご自身に合った選択がしやすくなります。より詳しい始め方については、「ECのはじめ方」の記事も参考にしてください。
要件別に見る Shopify と WooCommerce の選び分け
ShopifyとWooCommerceに絶対的な優劣はありません。ここでは、スモールスタートにおける代表的な要件ごとに、どちらが「向いている」傾向にあるかをまとめました。
| 要件 | Shopify | WooCommerce |
|---|---|---|
| 初期設定のしやすさ | ◎ 向いている | △ やや手間がかかる |
| デザイン変更の自由度 | ○ テンプレートの範囲内 | ◎ 向いている |
| 日本向け決済・配送 | ◎ 向いている | ○ プラグインで対応 |
| 運用コストの把握しやすさ | ◎ 向いている | △ 変動要素が多い |
| カスタマイズ前提かどうか | △ どちらかといえば不向き | ◎ 向いている |
補足:
- Shopify: 専門知識がなくてもECサイトを立ち上げ、運営できるよう設計されています。コスト構造がシンプルで、初心者でも安心して始めやすいのが特徴です。
- WooCommerce: WordPressのプラグインであるため、既存のWebサイトをEC化したり、独自の要件に合わせて細かくカスタマイズしたりする場合に向いています。自由度が高い分、サーバー管理などの専門知識が求められます。
初期費用〜3か月運用費の現実的な考え方
ここでは、スモールスタートを想定した際の、現実的な費用感の例を挙げます。金額はあくまで相場であり、依頼する制作会社や要件によって変動します。
Shopifyの費用感(例)
- 初期構築で発生しやすい項目:
- 基本設定・デザインテンプレート適用: 10万円〜30万円
- 商品登録(10点程度): 3万円〜5万円
- 特定商取引法に基づく表記など、法定ページの作成: 2万円〜
- 月額で発生する代表的な費用:
- Shopifyプラン料金: 約33ドル〜(ベーシックプランの場合)
- 決済手数料: 3.25%〜
- アプリ利用料: 0円〜数千円/月
- 注意点: 特定の機能を追加したい場合、Shopifyアプリの月額課金が必要になるケースが多く、コストが積み上がりやすい点には注意が必要です。
WooCommerceの費用感(例)
- 初期構築で発生しやすい項目:
- WordPress・WooCommerceインストール・設定: 5万円〜
- デザインテーマ購入・適用: 1万円〜10万円
- 決済・配送プラグイン導入・設定: 5万円〜
- サーバー・保守に関する費用:
- レンタルサーバー代: 1,000円〜5,000円/月
- 保守管理費(アップデート対応など): 5,000円〜20,000円/月
- 注意点: WooCommerceは本体が無料である一方、サーバー代や保守管理費が必ず発生します。また、自由度が高い反面、細かな調整にカスタマイズ費用がかさむ可能性があります。
スモールスタート後、拡張時に出てくる差
ECサイトは成長に伴い、新たな要件が出てきます。その際に、どちらのプラットフォームを選んだかで対応のしやすさが変わる点も知っておきましょう。
- 商品数増加: どちらも対応可能ですが、WooCommerceはサーバー性能がボトルネックになる可能性があります。
- 価格・送料の複雑化: 会員ランク別の価格設定や、購入点数に応じた複雑な送料設定などは、WooCommerceの方が柔軟に対応しやすい傾向にあります。
- 会員区分・BtoB対応: 卸売などBtoB向けの要件が出てきた場合、WooCommerceはカスタマイズで対応しやすく、Shopifyは高機能なアプリや上位プラン(Shopify Plus)が必要になることがあります。
- 外部システム連携: 在庫管理システムや会計ソフトとの連携は、どちらもAPIなどを通じて可能ですが、独自のシステムと連携する場合はWooCommerceの方が開発の自由度が高いです。
重要なのは「どちらが有利か」ではなく、「どのタイミングで、どのような設計判断が必要になるか」を初期段階で想定しておくことです。
結論|最短スタートを成功させる考え方
ECサイトのプラットフォーム選定は「正解探し」ではありません。ここまで見てきたように、ご自身のビジネス要件を整理すれば、選択肢は自然と絞られてきます。
もしそれでも迷うのであれば、「今やらないこと」を決めるのが最短スタートを成功させる秘訣です。将来必要になるかもしれない機能のために、今の立ち上げスピードを犠牲にするのは本末転倒です。まずは最低限の要件でスタートし、ビジネスの成長に合わせてECサイトも育てていく、という考え方が重要です。
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