画像運用の自動化:指示書→生成案→WebP変換→代替テキスト

画像運用を指示書から生成、管理、公開まで一連の業務フローとして自動化する考え方を表したイメージ

Contents

― 属人化しやすい画像業務を“設計”で回す ―

Webサイト運用において、画像はユーザーの理解を助け、エンゲージメントを高める重要な要素です。しかし、その制作と管理のプロセスは、特定の担当者のスキルや感覚に依存する「属人化」に陥りやすく、多くの企業でブラックボックス化しています。担当者が変わると品質が維持できない、過去の画像を再利用できないといった問題は、決して珍しいことではありません。

近年、AIによる画像生成技術が注目を集めていますが、ツールの導入だけでこの問題が解決するわけではありません。本当に重要なのは、画像生成そのものの技術よりも、誰が担当しても一定の品質を保ち、効率的に業務を回せる「運用設計」です。

本記事では、最新のAI技術を「単なる画像生成ツール」としてではなく、「業務フローを補助・自動化するエンジン」として捉え、具体的な「仕組み」を設計する方法を解説します。画像を作る話ではなく、事業として画像を回す仕組みに焦点を当てていきます。

なぜ画像運用は破綻しやすいのか

Web担当者を悩ませる画像運用の問題は、いくつかの典型的な原因に集約されます。これらを理解することが、解決の第一歩となります。

属人化しやすい理由

  • 個人のセンスへの依存: 「良い感じの画像を」といった曖昧な依頼が横行し、担当者の美的感覚や解釈に品質が左右されます。これにより、担当者以外は画像の意図や基準を理解できなくなります。
  • 暗黙知の塊: 画像の選定基準、加工のニュアンス、ファイル管理のルールなどが言語化されず、担当者の頭の中にしか存在しない状態です。
  • 引き継ぎの困難さ: マニュアルやルールが存在しないため、担当者の異動や退職時に業務が停止したり、品質が著しく低下したりするリスクが常に伴います。

指示が曖昧なまま生成してしまう問題

「新サービスのイメージ画像をいい感じに作って」というような指示では、担当者は意図を推測しながら作業するしかありません。結果として、何度も手戻りが発生し、担当者の疲弊と工数の増大を招きます。これは、AIに指示を出す場合も同様で、曖昧な指示(プロンプト)からは意図した結果は得られません。

更新・再利用・差し替えができない構造

ファイル名が「image1.jpg」や「top_banner_new.png」といった場当たり的な命名になっていると、後から画像を探し出すことが非常に困難になります。 また、どのページでどの画像が使われているかの対応表もなく、画像の差し替えや更新作業が膨大な手間を要する非効率な状態に陥ります。

画像運用を自動化する全体フロー

属人化を防ぎ、効率的な画像運用を実現するためには、一貫したワークフローの設計が不可欠です。ここで提唱するのは、完全な無人化ではなく、AIの得意な作業と人間の判断を組み合わせた「半自動+承認」のフローです。

全体フロー:指示書生成案(AI)選別(人)WebP変換(自動)命名(自動+人)altテキスト生成(AI)確認・修正(人)公開

このフローのポイントは、各工程の役割を明確にし、AIによる自動化と人間の承認・判断プロセスを分離することです。AIはあくまで高速で大量の「案」を出すアシスタントであり、最終的な意思決定は人間が行うという前提に立ちます。

指示書の書き方

なぜ指示書が最重要なのか

画像運用の自動化フローにおいて、すべての起点となるのが「指示書」です。指示書が曖昧であれば、後続のすべてのプロセスがぶれてしまいます。これは、人に依頼する場合も、AIに生成を指示する場合も全く同じです。明確で一貫した指示書を作成することで、初めて品質の安定と効率化が実現します。

指示書に含めるべき最低限の要素

誰が読んでも同じ解釈ができるよう、以下の要素を盛り込んだテンプレートを作成しましょう。

要素説明記載例
用途どこで、何のために使う画像かブログ記事のアイキャッチ、SNS投稿用、製品説明ページの図解
トーン画像全体の雰囲気やスタイルプロフェッショナル、温かみのある、未来的、ミニマル
構図被写体や要素の配置中央に製品を配置、背景はぼかす、俯瞰からのアングル
禁止事項含めてはいけない要素や表現特定のロゴ、人物の顔が特定できるもの、競合製品を想起させる色
出力条件ファイル形式、アスペクト比、サイズなど1200x630px、16:9、横長

人が決める部分/AIに任せる部分の線引き

  • 人が決めること: 上記の指示書に記載する戦略的な要素(用途、トーン、禁止事項など)。ビジネスの目的やブランドイメージに直結する部分は、必ず人間が意思決定します。
  • AIに任せること: 指示書に基づいた具体的なビジュアルのアイデア出し。人は「AとBを組み合わせたCのような画像」という複雑な思考ができますが、AIは指示書に沿ったパターンを大量に、かつ高速に生成することが得意です。

生成の線引き

AIによる画像生成は強力なツールですが、無条件に何でも生成して良いわけではありません。事前に明確なガイドラインを設けることが、リスク管理とブランド保護につながります。

生成してよい画像・避けるべき画像

生成してよい画像(例)避けるべき画像(例)
抽象的なコンセプトを表すイメージ実在の人物や特定の建物の画像
製品やサービスを説明するための図解著作権で保護されているキャラクターやアート
特定の個人を識別できない、一般的な人物像差別や偏見を助長する可能性のある表現
オリジナルのアイコンやイラスト未検証の情報を事実のように見せるグラフや図

ブランド・法務・アクセシビリティ観点での注意点

  • ブランド: 生成された画像が、企業のブランドイメージやデザインガイドラインと一致しているかを確認する必要があります。
  • 法務: AIが生成した画像が、既存の著作権や肖像権、パブリシティ権を侵害していないか、注意が必要です。特に実在の人物や製品に酷似した画像の商用利用はリスクを伴います。techsuite.co.jp
  • アクセシビリティ: 画像に含まれるテキスト情報が読みやすいか、色のコントラストは十分かなど、すべてのユーザーが情報を得られるように配慮する必要があります。関連する解説記事として「Webアクセシビリティ入門ガイド」もご参照ください。

「案として生成する」位置づけの重要性

AIが生成した画像は、あくまで「完成品」ではなく「たたき台」として扱うことが重要です。生成された複数の案の中から、人間の担当者が意図に最も近いものを選び、必要に応じて修正・加工を加えるプロセスを必ず挟むようにしましょう。

命名規則

画像命名がSEO・運用に与える影響

画像のファイル名は、検索エンジンが画像の内容を理解する上で重要な手がかりとなります。 例えば、「service-flow-chart-202602.webp」というファイル名は、「image01.webp」よりも遥かに多くの情報を検索エンジンに伝えます。また、一貫した命名規則は、後々の画像管理や更新作業の効率を劇的に改善します。qiita.com+1

自動化しやすい命名ルールの考え方

人間が毎回考えるとブレが生じるため、機械的に決定できるルールを設計します。

基本構造:{カテゴリ}-{内容}-{連番など}.{拡張子}

要素説明
カテゴリ画像の種類を大別するblog, case, product, icon
内容画像が何を表すかを具体的にkey-visual, customer-voice, flow-chart
連番など識別子(日付や連番)01, 02, 202602

人が決めるルール/AIに委ねる部分

  • 人が決めること: 上記の命名規則の構造(どの要素をどの順番で、ハイフンで繋ぐかなど)を定義します。
  • AIに委ねる部分: 指示書の内容(用途や内容)から、ファイル名に含めるべきキーワード(例: flow-chart)を抽出させ、ルールに沿ってファイル名を自動生成させます。

代替テキスト(alt)の自動生成と確認

altテキストの役割(SEOではなくアクセシビリティ)

altテキスト(代替テキスト)の最も重要な役割は、画像が表示されない環境や、スクリーンリーダーを利用する視覚障害のあるユーザーに対して、画像の内容を伝えることです。 これはSEOのためではなく、ウェブアクセシビリティを確保するための必須要件です。

生成AIが向いている部分

AIは画像の内容を客観的に描写することを得意としています。例えば、「ノートパソコンを操作する人物の手元」といった、画像に写っているものをそのままテキスト化する作業は、AIに任せるのに適しています。

人が必ず確認すべきポイント

AIは画像の「文脈」を理解することができません。 その画像が何を意図してそこに置かれているのかを判断し、altテキストを最適化するのは人間の役割です。

  • 画像の意図: その画像がリンクボタンなのか、単なる装飾なのか、重要な情報を含むグラフなのか。
  • 文脈: 前後の文章と合わせて、altテキストが自然な流れになっているか。
  • 情報の過不足: AIが生成したテキストに、余計な情報や不足している情報はないか。

NGなaltテキスト例の考え方

NG例なぜNGか改善案
alt="画像"何も伝わらないalt="業務フローを改善する3つのステップを示した図"
alt="最高の笑顔の女性"装飾的で主観的な表現alt="顧客満足度の高さを象徴する、笑顔で握手するビジネスパーソン"
alt="グラフ"グラフが示す内容が不明alt="2025年度の売上が前年比で150%に成長したことを示す棒グラフ"

よくある失敗パターン

  • 生成した画像をそのまま使う: AIの生成物を無批判に受け入れ、人間のチェックを経ずに公開してしまう。品質の低下やブランドイメージの毀損に繋がります。
  • 命名・altを後回しにする: 「後でやろう」と考え、ファイル名やaltテキストを適当なままにしてしまう。結果的に技術的負債が溜まり、将来の運用コストが増大します。
  • 画像ごとにルールが違う: ワークフローが標準化されておらず、担当者や案件ごとに指示の出し方や管理方法がバラバラになっている。note.com
  • 自動化=無人運用と誤解する: AIを導入すれば全ての作業が不要になると考え、人間の判断や承認のプロセスを軽視してしまう。

まとめ

画像運用を属人化から脱却させる鍵は、個々のツールの機能ではなく、一貫した「業務フロー」の設計にあります。

  • 画像運用は「制作」ではなく「業務フロー」である: クリエイティブな作業と定型的な作業を分離し、後者を徹底的に仕組み化することが重要です。
  • 指示書とルールが8割を決める: 優れたアウトプットは、優れたインプットから生まれます。誰が作業しても同じ品質を担保できる、明確な指示書とルールこそが最も価値のある資産です。
  • AIは生成役ではなく“整理・変換・補助”の役割: AIを「魔法の杖」ではなく、命名規則の適用、ファイル形式の変換、altテキストの草案作成といった、人間がクリエイティブな判断に集中するための「アシスタント」として活用しましょう。
  • MOFU段階での信頼形成に画像運用は直結する: 検討段階(Middle of Funnel)にある顧客は、企業の細部をよく見ています。一貫性のある質の高い画像運用は、企業の信頼性や専門性を雄弁に物語るのです。

CTA(コールトゥアクション)

画像指示書テンプレ+命名規則シート

本記事で解説した画像運用をすぐに実践できるよう、以下のテンプレートとチェックシートをご用意しました。ダウンロードして、貴社の業務フロー改善にお役立てください。

  • 画像指示書テンプレート(Googleドキュメント)
    • 本記事で解説した項目を網羅した、コピーしてすぐに使える指示書のひな形です。
  • 命名規則・管理シート(Googleスプレッドシート)
    • カテゴリや内容を定義し、自動でファイル名を生成するルールシートです。
  • altテキスト確認チェック項目(PDF)
    • AIが生成したaltテキストを確認・修正する際に役立つチェックリストです。

▶ 各種テンプレートのダウンロードはこちら

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