採用サイトの作り方:「応募率」を上げる構成と計測

採用サイトの応募率改善に向けて構成と計測データを確認している会議風景

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多くの採用サイトが、求職者へのアピールを意図しつつも、実質的には「会社紹介」の域を出ていないケースが見受けられます。しかし、採用サイトの応募率は、デザインの美しさだけでなく、構成と導線設計を見直すことで改善できる可能性があります。

本記事では、採用サイトを「応募導線設計」という観点から捉え直し、応募率を意識したサイトの構成、エントリーフォームの考え方、そして効果を測るための計測方法について、実務的な視点で整理します。

募集要項の見せ方で応募率は変わる可能性がある

仕事内容や給与レンジが整理された採用サイトの募集要項ページを閲覧している様子

採用サイトの根幹は、求職者が最も知りたい情報、すなわち「募集要項」です。このページの構成や見せ方が、応募への意思決定に影響を与える可能性があります。

会社紹介と募集要項を分ける理由

求職者が採用サイトを訪れる最大の目的は、「自分がその会社で働く姿を具体的にイメージできるか」を知ることです。企業の理念や沿革も重要ですが、それはあくまでも判断材料の一つです。多くの求職者はまず、仕事内容、労働条件、給与といった実務的な情報を求めています。

この情報探索行動を考慮し、会社全体の紹介ページとは別に、職種ごとの「募集要項」ページを明確に設けることが重要です。これにより、求職者は自身の関心事に直接アクセスでき、ストレスなく情報を得られます。

募集要項ページに最低限必要な要素

求職者が知りたい情報を網羅し、不安を解消するために、募集要項ページには以下の要素を盛り込むことを推奨します。

項目内容
仕事内容具体的な業務内容、使用するツール、関わるチームなどを記述します。
1日の流れモデルケースとして、出社から退社までの具体的なスケジュール例を示します。
評価制度どのような基準で評価され、キャリアアップに繋がるのかを説明します。
給与レンジ可能な範囲で具体的な給与額や年収例を提示し、透明性を確保します。
勤務条件勤務地、勤務時間、休日、福利厚生などの情報を正確に記載します。
選考フロー応募から内定までの具体的なステップと、各段階の所要期間の目安を示します。

読みやすさと信頼性の設計

情報の信頼性を高め、内容を直感的に理解してもらうためには、テキスト以外の要素も重要です。

  • 写真・動画の扱い: 実際の職場の雰囲気や、働く社員の姿がわかる写真や動画は、求職者の理解を助けます。ただし、過度に演出されたものではなく、日常の風景を切り取ったような自然な素材が信頼感に繋がります。
  • 誇張表現を避ける理由: 「誰でも活躍できる」「アットホームな職場」といった抽象的で主観的な表現は、かえって不信感を招く可能性があります。具体的な事実や制度に基づいて、客観的な情報を提供することが、長期的な信頼関係の構築に繋がります。

エントリーフォーム設計

スマートフォンで氏名やメールアドレスを入力している採用エントリーフォーム画面

エントリーフォームは、求職者が「応募」という具体的なアクションを起こす最終関門です。ここでの離脱を防ぐことが、応募率の向上に直結します。

項目を増やしすぎない理由

最初の接点であるエントリーフォームで、過度に多くの情報を求めるのは避けるべきです。入力項目が多すぎると、求職者の負担が増え、途中で入力を諦めてしまう原因となります。

  • 初期接点で必要な情報の整理: まずは連絡先(氏名、メールアドレス、電話番号)と、簡単な経歴(履歴書・職務経歴書の添付)など、選考の初期段階で最低限必要な情報に絞り込みましょう。
  • 任意項目の考え方: 志望動機や自己PRなどを任意項目として設けることは有効ですが、必須項目にすると入力のハードルが上がります。 応募の段階では任意とし、詳細は面接で確認するというスタンスも一案です。

スマートフォン前提の設計

現在、多くの求職者がスマートフォンを利用して情報収集から応募までを行います。 そのため、フォームはスマートフォンでの操作性を最優先に設計する必要があります。

  • 入力しやすさ: 各入力フィールドのサイズを十分に確保し、タップしやすいデザインを心がけます。郵便番号からの住所自動入力や、全角・半角の自動変換といった入力支援機能も有効です。
  • エラー表示のわかりやすさ: 入力ミスがあった場合、どの項目がなぜエラーなのかをリアルタイムで、かつ具体的に表示することが重要です。 「入力内容に誤りがあります」といった漠然とした表示では、ユーザーは修正箇所がわからず離脱してしまいます

フォーム到達率と完了率の違い

応募効果を正確に測るためには、「フォーム到達率」と「フォーム完了率」を区別して計測することが重要です。

  • フォーム到達率: 募集要項ページを閲覧したユーザーのうち、エントリーフォームのページまで到達した割合。
  • フォーム完了率: エントリーフォームに到達したユーザーのうち、入力と送信を完了させた割合。

この2つの指標を分けて分析することで、課題が「募集要項からフォームへの導線」にあるのか、「フォーム自体の使いやすさ」にあるのかを切り分けて考えることができます。

SNS連携の位置付け

採用活動におけるSNSの活用は一般的になりましたが、その役割と限界を正しく理解しておく必要があります。

採用SNSの役割

SNSは、採用サイトを補完し、求職者の企業理解を深めるためのツールとして有効です。

  • 応募前の情報補完: 日常的な投稿を通じて、社内のイベント、社員の雰囲気、企業の文化といった、採用サイトだけでは伝えきれない「リアルな情報」を発信できます。
  • 企業理解の深化: 求職者はSNSを通じて企業との接点を持ち続け、継続的に情報を受け取ることで、企業への親近感や理解を深めていくことが期待できます。

SNSを過信しない理由

一方で、SNSの運用には注意も必要です。

  • フォロワー数と応募数は直結しない可能性: SNSのフォロワー数が多ければ、企業の認知度向上には繋がりますが、それが直接応募数に比例するとは限りません。
  • サイト内導線の方が重要な場合もある: SNSからの流入を増やすことも大切ですが、それ以上に、採用サイトに訪れた求職者を確実にエントリーまで導く、サイト内の導線設計の方が応募率への影響は大きい場合があります。SNSはあくまで採用活動の一環であり、中心は採用サイトであると位置づけることが重要です。

応募率をどう計測するか

応募完了数やフォーム到達率を確認している採用サイト分析ダッシュボード画面

採用サイトの改善は、感覚ではなくデータに基づいて行うべきです。ここでは、応募率を計測し、改善に繋げるための基本的な考え方を整理します。

応募率の基本式

まず、基本的な指標として応募率を算出します。

応募率 (%) = 応募完了数 ÷ 採用ページ全体のセッション数 × 100

この式で、サイト訪問者のうち、どれくらいの割合が応募に至ったかを把握できます。

見るべき指標

応募率だけでなく、以下の指標を併せて分析することで、サイトのどこに課題があるのかをより深く探ることができます。

指標見るべきポイント
ページ滞在時間募集要項や社員インタビューのページが十分に読まれているか。滞在時間が極端に短い場合、内容に興味を持たれていない可能性があります。
スクロール率ページのどの部分まで読まれているか。重要な情報がページ下部にあり、そこまで到達していない場合は構成の見直しが必要です。
フォーム到達率募集要項ページからエントリーフォームへの遷移率。この数値が低い場合、応募ボタンの配置や文言に課題があるかもしれません。
フォーム完了率フォーム入力の完了率。この数値が低い場合は、フォームの項目数や入力しやすさに問題がある可能性が高いです。

改善の進め方

これらの指標を基に、以下のサイクルで改善を進めていきます。

  1. 仮説立案: データから「フォームの項目数が多すぎて離脱しているのではないか?」といった仮説を立てます。
  2. 小さな修正: 一度に多くの変更を加えず、「任意項目を2つ減らす」など、仮説に基づいた小さな修正を一つ行います。
  3. 数値確認: 一定期間を置いて、修正前と後でフォーム完了率などの数値がどう変化したかを確認します。

このプロセスを繰り返すことで、着実にサイトを改善していくことができます。

最後に:設計の「たたき台」として

本記事では、応募率を意識した採用サイトの設計と計測の考え方を解説しました。

もし、これから採用サイトの構成を具体的に検討される場合は、これらの要素を盛り込んだ「採用LPひな形」をご用意しています。これは完成されたテンプレートではなく、あくまで貴社独自の魅力を伝えるための構成を考える「たたき台」としてご活用いただくためのものです。

ご興味がありましたら、ぜひお声がけください。売り込みを目的としたものではありませんので、採用サイト設計の第一歩として、お気軽にご相談いただければ幸いです。

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